MGシリーズを始めとする最近のガンダムシリーズの模型は、ほとんど無塗装でも 見栄えがするようになっています。無理に塗装するよりも、表面処理を行なった 後に墨入れ/トップコートで十分美しい仕上がりを得られると思います。私の場合、 塗装自体が楽しい工程でなので、無塗装ではつまらないという思いがあります。 塗装する事でキットをそのまま組むのとは一味違った作品ができますし、他人とは 違った作品のカラーバリエーションを揃えるのも楽しいものです。
人それぞれ塗装方法はあると思いますが、ここでは私の塗装方法を解説します。
■ How to paint ?
最近(2001年秋)まで塗装前の下地処理にサーフェーサを使っていました。 広い面積はタミヤの缶スプレーを使い、細かい部分は瓶の1000番をエアブラシで 吹いていました。しかし大がかりな改造を行なって下地の統一が必要な場合を除いて、 サーフェーサを用いる必要はない事に気づきました。必要に応じてサーフェーサを 使う方向に今後は考えています。(各模型誌でサーフェーサを用いない作例も出てきた 事も後押ししています。)
MG GMを題材に私の塗装方法を解説します。
Step1 まず表面処理を行ないます。今回の例では胸部のモールドを SSP-HG で埋めて、 全く別にモールドを作っています。SSP-HG という異素材の影響を考えてサーフェーサ を使う事も考えましたが、完全に硬化してから表面処理をしっかりすればいきなり 塗装でも問題ないでしょう。 今回は改修箇所を 180番のペーパーで均した後、400番のペーパーをかけています。 仕上げをツヤ消しにするつもりなので、400番で良いですが、半ツヤなら 800番 程度まで表面処理しておくと良いと思います。改修していない箇所も含めて 処理し、ヒケやパーティングラインを消していきます。全体にペーパーをかける事で 塗料の食いつきも良くなります。 | |
Step2 濃度を3倍程度に薄めたベース色をエッジに塗料がのるように2〜3度吹きかけます。 ベース色は最終的に立ち上げる色によりますが、ブラックまたは濃いグレーに します。立ち上げる色に青みを持たせたければ、ブルーをベースに混色しておき ます。またここでベースにクリヤーブルーなどを入れておけば、塗装を重ねる 事でクリヤーカラーを滲み出させる事もできます。 この工程は本来サーフェーサをかけて表面をチェックするパートに相当するので、 ベース色を吹いた状態で、表面に凸凹がないか、表面処理を忘れているところは ないか調べます。問題があれば、Step1 同様ペーパーなどかけて再度ベース色を 吹きかけます。まだ2〜3回の吹きかけなので、表面処理をやり直した後に再度 吹きかけてもほとんど段差にはなりません。 | |
Step3 表面に凸凹がなくなれば、ベース色の塗装を重ねます。Step2 とあわせて 5,6回 は重ねるとベースが整います。Step2 もそうですが、エアブラシの空気圧は あまり高くしないようにします。空気圧が高いと塗料が強く噴射され、ムラになって しまうからです。 細かい傷は、塗装後にトップコートでほとんど目立たなくなるので、 あまり気にしません。写真では妙に光ってしまっていますが、光沢のムラなども 全く気にしなくて良いでしょう。あくまでもベースが出来上がったという事です。 ここから目的の色を立ち上げていきます。 | |
Step4 左写真は Step3 で作ったベース上に、モンザレッドを3倍程度に薄めたものを3,4回ほど 吹きかけた状態です。エッジやパネルラインにそってベースの色が残るように 面の中央から外側に向けて吹きかけています。これで部品の角やライン際が暗く なるようにグラデーションができます。 色や部品の大きさによっては Step5 は行なわず、この Step4 の段階で、塗装面 の中央部分に更に同じ色で塗装を重ねる事で、グラデーション表現を行なう場合も あります。 | |
Step5 写真が多少光り過ぎていますが、Step4 の作業の上に、グラデーションの明るい 部分(面の中央)に更に明るく調色した赤を2,3回吹き重ねています。(モンザレッド+白+クリヤーイエロー。) これで全体的に赤が明るくなりました。この作業は色や面の大きさ、見える角度 (例えば胸部上面は明るくするが、側面はしない、など)によって行なう場合と 行なわない場合があります。ガンダム系の胸部に行なうと、胸周りがかなり 明るく見えて、側面などとの陰影がはっきりします。 ここまでで目的の色をグラデーションで表現できました。明るさが足りない場合 はこの工程を繰り返します。 | |
Step6 塗装後の処理として、半ツヤトップコートを吹きます。これで表面の細かい傷は ほとんどなくなります。缶スプレーで軽く一回程度です。 次にエナメル塗料で墨入れを行ないます。 今回はツヤ消しブラックを用いています。2倍程度に薄めて流し込んでいます。 乾燥後エナメル溶剤で余分な塗料を拭き取ります。 シールやデカールでマーキングを行ないます。キットのシールはデザインナイフで できるだけ余白を作らないようにして貼ります。水を使うデカールは貼ってから 1週間位は乾燥期間をとります。 マーキングした上に、軽くボディーと同色を吹いて、マーキングが浮き過ぎない ようにします。(これはケースバイケースでやっています。) 最後にツヤ消しの トップコートを吹いてツヤを整えています。(左写真では多少トーンが落ちて しまっています。) |
以上が私の塗装工程です。最近はほとんどこの工程で塗装をしています。大改修 を行なう場合も Step1 と 2の間にサーフェーサを吹く工程が増えるだけです。 人それぞれ塗装の仕方があるので、私の方法は良い方法ではないという意見も あるかもしれませんが、私の作品はこうして仕上がっています。